キスするくせに、彼氏じゃない。

彼はそれに気づくと、私の顔の横を通して仕切りに手をついた。

腕の内側に、小さな空間ができる。

 

「鞄、前に持てる?」

 

言われたとおりに抱え直すと、肩が楽になった。

彼は私を見下ろし、窮屈ではないか確かめるように少し首を傾けた。

 

「大丈夫?」

「うん」

 

返事をしてから、彼の立ち方が少し不自然なことに気づいた。

片足を引き、後ろから押される力を受け止めている。

 

「そっちは?」