もう一度声をかける。
「あの、時間少ないから、あと一回だけでも歌わない……?」
「はぁ?めんどくさいからヤだし。歌ったって、楽しくないじゃん。今先生テノールのとこいるし、サボっててもバレなくね?」
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
50分も練習時間があったのに、ソプラノパートの女子たちは話してて練習はAメロディーを一回歌うだけで終わってしまった。
はぁ……。
終学活、掃除……。
いつものことを終え、実行委員が先生に呼び出される。
「長閑さん、田中さん、練習初回どうだった?」
「あ、えと……」
言葉に詰まってしまった。
教室にいるのは、旭先生と田中さん、女子はいないし、三人きり。
緊張してしまった。
「じゃ、先に田中さんに聞くね。どうだった?練習」
「あ、えっとっすね……まぁ、Aメロはなんとか歌えるって感じっすね」
「反省点とか、課題とかは?」
「ふざけてることが多いってとこ。伴奏聞いてないから、どこで入ればいいかがわかってない人が多いっす」
「あぁ。俺も見てたけど、ちょっと思った。田中さんは課題曲の伴奏でしょ?動画とって、クラスルームに伴奏あげてくれる?」
「や、まだ弾けなくて……」
「そうなの?じゃあ、練習しておいて。もう帰っていいよ」
「はい、さようなら」
私がカチコチになっている間に、二人の会話は終わっていた。



