男子恐怖症の私が付き合うなんて、ほど遠すぎます!

「えっと……」
「あ、ごめん言いにくいよね……。というか、無理に聞いてごめんね」
ううん。
私は、聞かれて嫌だったわけじゃない。
こんなことに、気づいてくれたのがうれしかったんだ。
だれも、気づいてくれたことなんて、なかったから。
まず、私の名前を憶えてくれていたことも、うれしかった。
「長閑さん……?大丈夫?」
頬に、冷たいものがすぅっとすべる。
……私、泣いているんだ。
「すみません……大丈夫です」
「……何があったのかは、わからないけど……。泣きたいだけ、泣けばいいよ」
ギュッ。
そうやって、抱きしめてくれたんだ。
男の人が、近くにいるだけで怖かった。
ましてや、触れているなんて、とても怖かった。
なのに、先生だけは大丈夫だ。
「あ、ごめ……」
多分、私が男の人が苦手、ということを思い出したのだろう。
先生が離そうとした。
でも……。
「もう少しだけ、このままにしてください」
「……ん」
自分で拒まなかったのは、初めてだ。