きみが窓を見なくなるまで

「……近い」

私が言うと、隼人くんは少しだけ顔を引いた。

「嫌?」

私は首を横に振った。

その返事をしたあと、自分の頬が熱くなる。

隼人くんは一度、入口へ目を向けた。

それから、私へ戻す。

「手、触っていい?」

私は胸の前にあった手を下ろした。

彼の指が、私の指先へ触れる。

すぐには握らず、爪の横へそっと指を添えた。

私はその手を見た。

本のページをめくっていた手。
髪のゴムを外してくれた手。

今は、私が握り返すのを待っている。

私は指を少し曲げた。

隼人くんの指が、その間へ収まる。

彼が息を吐いた。

見上げると、やっぱり耳が赤かった。

私は少し笑ってしまった。