きみが窓を見なくなるまで

「でも、私も見てたから」

言うと、隼人くんが手を下ろした。

私は本棚の背表紙へ目を向けた。

「わかったんだと思う」

足音が、少し近づく。

私は彼を見上げた。

隼人くんは、笑うのをやめていた。

「今も?」

「……何が?」

「見てる?」

私は返事を迷った。

廊下で。
授業の合間に。
教室へ入ったときに。

見つけてしまうことは、今もある。

「ときどき」

小さく答えた。

彼の口元が緩む。

「俺も」

それだけ言って、視線が私の顔に留まった。

私は先に目をそらしかけて、やめた。

何も言わない時間が、急に長く感じた。