きみが窓を見なくなるまで

閉館前、先生が職員室へ書類を届けに行った。

私たちは残った本を棚へ戻した。

最後の一冊を入れ、カウンターへ戻ろうとすると、隼人くんに呼ばれた。

「妃菜」

振り返る。

彼は窓際の席を見ていた。

「一個、聞いていい?」

私は頷いた。

「窓見てたとき、俺、そんなわかりやすかった?」

私は少し考えた。

それから、正直に頷いた。

隼人くんが片手で目元を覆う。

「……まじか」

「笑ってたし」

「うん」

「顔、赤かったし」

彼は何も言わなくなった。

私はその耳を見た。

今も、同じ色だった。