きみが窓を見なくなるまで

金曜日、図書室へ来た隼人くんは、少しだけ静かだった。

カウンターの前へ座り、机に置いた私の本を見る。

「練習、どうだった?」

尋ねると、彼は椅子へ座り直した。

「今日は、あんまり」

私は続きを待った。

「できると思ってたことが、思ったよりできなかった」

机の下で、彼の靴が少し動く。

私はすぐに励ます言葉を探した。

でも、途中でやめた。

「どんなこと?」

聞くと、隼人くんが顔を上げた。

それから、少しずつ話し始めた。

体の向きを変えたときのこと。
ボールへ手を出すのが遅れたこと。

私は全部を想像できたわけではなかった。

わからないところは、聞いた。

隼人くんは、そのたびに言い直してくれた。