きみが窓を見なくなるまで

五時の少し前、隼人くんが図書室へ来た。

今日は窓際へ行かず、まっすぐカウンターへ来る。

「お疲れ」

「お疲れさま」

私は当番ノートを閉じた。

「練習、どうだった?」

「昨日より、少し長くできた」

「痛くない?」

「大丈夫」

彼は頷き、入口のツリーへ目を向けた。

白いカードが、枝の間で少し揺れている。

「今度、あれ借りようかな」

「もう読んだのに?」

「また違うかもしれないだろ」

私はカードを見た。

『木曜日の余白』。

読み終わったあと、誰かと話したくなる本。

「……うん。そうかも」

隼人くんが私を見て、笑った。