きみが窓を見なくなるまで

信号待ちで止まったとき、鞄の中の便箋を思い出した。

「今日、手紙持ってきたの」

隼人くんが私を見る。

「俺に?」

私は頷いた。

「上手く話せなかったら、渡そうと思って」

彼の視線が、私の鞄へ落ちる。

「……読んでもいい?」

私は少し迷った。

途中までしか書いていない。

好きだという言葉も、書けなかった。

でも、今なら渡せると思った。

「うん。でも、ちょっとだけ」

信号が変わった。

隼人くんはつないだ手を一度見てから、私を見た。

「駅着いたら」

その返事がうれしくて、私は頷いた。