きみが窓を見なくなるまで

隼人くんが、カウンターの端へ手を置いた。

いつも私が、返却本を並べていた場所。

ガラスの中でも、同じ手が動く。

「暗くなってくると、ここが映る」

私は、ゆっくり息を吸った。

「……ここに、私がいたから?」

隼人くんは、少しだけ視線を落とした。

「うん」

遠くのコートで、ボールが弾んだ。

その音を聞いているのに、目に入っているのは室内だった。

私が本を読んでいた場所。

笑っていた場所。

彼へ顔を向けていた場所。

全部、ここから見えた。