きみが窓を見なくなるまで

窓際まで行くと、隼人くんが椅子を引いた。

「座って」

私は彼を見たあと、ゆっくり腰を下ろした。

初めて座る席だった。

机の角も、椅子の高さも、いつもと変わらない。

でも、窓が近かった。

ガラスの向こうに、コートの白い線がある。

「ここから、見てたの?」

聞くと、隼人くんは頷いた。

「うん」

彼は私の後ろを通り、少し離れた。

足音が、カウンターのほうへ向かう。

私は窓を見た。

外は暗くなりかけていて、昼間より室内の明かりが強かった。

ガラスの中に、白い天井が見えた。