きみが窓を見なくなるまで

「なんで、遠藤?」

彼が尋ねた。

私は顔を上げた。

隼人くんは、本当にわからないという顔をしていた。

その表情に、少し混乱する。

「……好きなの、みなみじゃないの?」

「違う」

返事は、すぐだった。

私は瞬きをした。

一度では、言葉が頭に入らなかった。

「でも」

口にしてから、続きを探す。

「いつも、見てたから」

隼人くんの目が、少し細くなる。

「何を?」

「テニスコート」

私は窓へ顔を向けた。

外は、もう薄暗かった。

ガラスの向こうには、今日もコートがあった。