きみが窓を見なくなるまで

隼人くんは、しばらく何も言わなかった。

私は机の端に置いた指を、少しずつ曲げた。

聞いてしまった。

もう、聞かなかったことにはできない。

図書室の奥で、先生が棚を閉める音がした。

隼人くんの視線は、私から動かなかった。

「……いるよ」

静かな声だった。

胸の奥が、きゅっと縮む。

わかっていたつもりだった。

何度も、そう考えた。

それでも、本人の言葉で聞くと、思っていたより痛かった。

私は一度頷いた。

「うん」

声が、ちゃんと出た。

それだけで、少しほっとした。