きみが窓を見なくなるまで

「……私と?」

聞き返すと、彼が頷いた。

「うん」

うれしかった。

息をするのを忘れるくらい。

でも、すぐに別の顔が浮かんだ。

明るく笑う、みなみ。

窓の外を見ていた、隼人くん。

私は机の端へ手を置いた。

「二人で?」

彼の眉が、わずかに動く。

「そのつもりだけど」

私は一度、目を伏せた。

聞いていないことがある。

みなみの声を、思い出す。

自分で決めて、苦しくなる前に。

私は顔を上げた。

「……私と会ってて、大丈夫なの?」

隼人くんが、動きを止めた。

「何が?」

その声に、初めてはっきり戸惑いが混じった。

私は指先を机へ押しつけた。

「好きな子が、いるんじゃないの?」

隼人くんは、何も言わなかった。

目の前の彼が、今までに見たことのない顔で、私を見ていた。