きみが窓を見なくなるまで

二時間目のあと、廊下で隼人くんに呼び止められた。

「妃菜」

振り返る。

名前には、まだ慣れなかった。

「金曜、見てた?」

私は頷いた。

「少しだけ」

「声かければよかったのに」

「練習中だったから」

隼人くんは少し考え、頷いた。

「そっか」

私は彼の足元を見た。

「そのあと、痛くなかった?」

「大丈夫」

返事を聞いて、息が緩む。

隼人くんの目元も、少し柔らかくなった。

「何本、見た?」

「一本」

「入ったやつ?」

「うん」

彼は小さく笑った。

「いいとこ見たな」