きみが窓を見なくなるまで

その日の図書室には、隼人くんは来なかった。

私は当番を終えたあとも、少しだけ残った。

机へ本を置き、椅子へ座る。

手紙を出せなかった人の話。

最後まで読んだあと、もう一度、最初へ戻った。

最初のページでは、まだ封筒が一枚しかない。

この人は、どのあたりで気づいたのだろう。

出さないでいることも、一つの選択なのだと。

私はページの端へ指を掛けた。

みなみの声を思い出す。

まだ、聞いてないことがあるんだね。

私は窓際の空いた席を見た。

聞きたいことは、あった。

でも、それより先に、自分が言っていないことがあった。