その日の昼休み、高木くんは教室の後ろにいた。
「だから、それ昨日も聞いたって」
田中陸くんがそう言って、机に片手をつく。
周りにいた男子が笑う。
高木くんも、飲みかけの紙パックを手にしたまま笑っていた。
私は少し離れた席で、お弁当の卵焼きを箸で半分にしていた。
「妃菜、聞いてる?」
「あ、うん」
正面に座るみなみが、目を丸くする。
「今の、聞いてないときの『うん』だった」
「聞いてたよ。ボールが」
「そう、ボールが」
「……飛んでった」
「だいたい毎日飛んでる」
みなみが吹き出して、私もつられて笑った。
卵焼きの切り口が、少しだけ崩れた。
「だから、それ昨日も聞いたって」
田中陸くんがそう言って、机に片手をつく。
周りにいた男子が笑う。
高木くんも、飲みかけの紙パックを手にしたまま笑っていた。
私は少し離れた席で、お弁当の卵焼きを箸で半分にしていた。
「妃菜、聞いてる?」
「あ、うん」
正面に座るみなみが、目を丸くする。
「今の、聞いてないときの『うん』だった」
「聞いてたよ。ボールが」
「そう、ボールが」
「……飛んでった」
「だいたい毎日飛んでる」
みなみが吹き出して、私もつられて笑った。
卵焼きの切り口が、少しだけ崩れた。

