きみが窓を見なくなるまで

みなみが自分の席へ戻ってきた。

テニスバッグを肩へ掛ける。

「妃菜、今日当番?」

私は首を横に振った。

「ううん」

「そっか。じゃあ、また明日」

彼女が手を上げる。

いつもなら、私も同じように返す。

それで、一日が終わる。

私は鞄の持ち手を握った。

このまま帰れば、夜になってから、また同じことを考える。

誰にも言わなかった言葉を、自分だけで何度も聞く。

みなみが扉へ向かう。

私は椅子から立った。

「……みなみ」

彼女が振り返る。

声を掛けたのは私なのに、喉が詰まった。

それでも、今度はやめなかった。

「少しだけ、話してもいい?」

みなみは私を見ていた。

それから、肩に掛けたバッグを下ろした。