きみが窓を見なくなるまで

「相手は、待ってたかもしれないね」

言うと、隼人くんが私を見た。

私は少し笑った。

「みなみの受け売りだけど」

『木曜日の余白』を読んだとき、店の人の気持ちを考えたのは、みなみだった。

隼人くんも思い出したように頷く。

「そうだな」

それから、私の前へ本を少し寄せた。

「妃菜、読む?」

私は表紙へ目を落とした。

返事が怖くて、出せない手紙。

「……うん」

図書室で借りる本だ。

彼から渡されたものではない。

それでも、表紙へ触れる前に、一度だけ手を膝で拭いてしまった。