きみが窓を見なくなるまで

図書室には、隼人くんがいた。

窓際ではなく、カウンターに近い机に座っている。

私を見つけると、本から顔を上げた。

「妃菜」

呼ばれて、足が少し止まる。

彼が机の上の本を示した。

「これ、読み終わった」

私は近づいた。

「どうだった?」

隼人くんは、隣の空いている椅子を少し引いた。

「聞いてくれる?」

私は頷く。

鞄を下ろし、椅子へ座った。

話したかったのかもしれない。
私が来るのを、少しは待っていてくれたのかもしれない。

そう思うと、またうれしくなってしまう。

友達だから。

本の話ができる、友達だから。

自分へ言い聞かせながら、私は彼のほうを向いた。

「……うん。聞きたい」

それでも、その声まで、うれしそうになるのは止められなかった。