きみが窓を見なくなるまで

家へ帰り、ブレザーをハンガーに掛けた。

数日前、彼のものを肩に掛けてもらったことを思い出す。

眠っている間に、そっと。

起きたあとも、何も求めずに。

私は制服の肩を指で払った。

あれは、寒かったから。

眠っていたから。

私だったから、ではなくても説明がつく。

そう考えれば、少し落ち着くはずだった。

でも、髪に触れる前、返事を待ってくれた手まで思い出してしまう。

優しい人なのだと思う。

知れば知るほど、そう思う。

その優しさを、自分にだけ向けられたものにしたくなる。