きみが窓を見なくなるまで

その日は、二人とも少し違う場所に座った。

高木くんはカウンターに近い机。
私は、いつものカウンター。

先生に頼まれた新しい本のカバーを掛けながら、ときどき話した。

「それ、難しい?」

高木くんが私の手元を見る。

「角が、ちょっと」

透明なフィルムを折り込む。

空気が入らないよう、端から指で押さえる。

彼はしばらく黙って見ていた。

「上手いな」

私は手を止めた。

「……何回もやってるから」

「何回もやったら、できるようになる?」

「たぶん」

「じゃ、俺もできるか」

私は顔を上げた。

高木くんが、少し笑っていた。

「やってみる?」

聞くと、彼は本を閉じた。