きみが窓を見なくなるまで

駅の近くで、道が分かれた。

高木くんは自転車を預けている場所へ、私は改札へ向かう。

「今日は、早く寝ろよ」

言われて、私は少し笑った。

「うん。本、途中でやめる」

「難しそう」

「……今日は、やめる」

彼も笑った。

「じゃ、また明日」

「また明日」

別れてから、私はブレザーの襟へ触れた。

今、着ているのは自分のものだった。

それでも、肩に掛かったあの重さを思い出す。

眠っていても、黙っていても。
上手く励ませなくても。

今日は、隣にいていいと思えた。

改札の前で、少しだけ振り返る。

高木くんの姿は、もう見えなかった。

私は鞄を持ち直した。

明日は、眠くない顔で会いたい。

そう思ってから。

眠ってしまった今日も、忘れたくないと思った。