きみが窓を見なくなるまで

翌朝、私は机の上の黒いゴムを見ていた。

昨日、制服のポケットから出したものだった。

指先で輪を広げる。

髪を結ぼうとして、途中で手を下ろした。

似合ってる。

あのときの声を思い出す。

言ってくれたことまで、嘘になるわけではない。

ただ、似合うと思ったから、そう言ったのだろう。

私はゴムを鞄の小さなポケットへ入れた。

鏡の前で、髪を一度梳かす。

下ろしていく理由を、今日はうまく考えられなかった。

だから、そのまま部屋を出た。