高木くんが、また窓の外を見ている。
返却された本の裏表紙を開いたまま、私は視線だけを上げた。
窓際のいちばん奥。
四人掛けの机を一人で使っている彼の前には、薄い文庫本が置かれている。
さっきから、同じページだった。
外で、ボールを打つ軽い音がする。
少し遅れて、女の子たちの声。
図書室から見下ろせるテニスコートでは、白い線の内側を、紺色のジャージが行き来していた。
そのうちの誰かを見ているのだろうか。
そう思ってから、私は手元へ目を戻した。
私が知ったところで、どうするわけでもない。
貸出カードの日付を確かめて、本を閉じる。
背表紙を指でなぞったとき、窓際で椅子のきしむ音がした。
見ないつもりだったのに。
私は、もう一度顔を上げていた。
返却された本の裏表紙を開いたまま、私は視線だけを上げた。
窓際のいちばん奥。
四人掛けの机を一人で使っている彼の前には、薄い文庫本が置かれている。
さっきから、同じページだった。
外で、ボールを打つ軽い音がする。
少し遅れて、女の子たちの声。
図書室から見下ろせるテニスコートでは、白い線の内側を、紺色のジャージが行き来していた。
そのうちの誰かを見ているのだろうか。
そう思ってから、私は手元へ目を戻した。
私が知ったところで、どうするわけでもない。
貸出カードの日付を確かめて、本を閉じる。
背表紙を指でなぞったとき、窓際で椅子のきしむ音がした。
見ないつもりだったのに。
私は、もう一度顔を上げていた。

