世界でいちばん、君に届かない

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 小春ちゃんと校門で別れ、私は少し遠回りをして帰ることにした。

 急いで帰っても、母の文房具店はまだ忙しい時間だ。手伝いに行けば喜ばれるだろうけれど、その前に少しだけ撮りたい景色があった。

 川沿いの道は、夕方になると空が広く見える。

 橋を渡る小学生たちの笑い声と、遠くの踏切の音が重なる。住宅街の窓には、少しずつ明かりが灯り始めていた。

 橋の欄干のそばに立ち、カメラを構える。

 水面には細い光の道が伸びていた。遠くを走る電車が、住宅街の屋根の向こうをゆっくり通り過ぎる。今日の空には、夕焼けの橙色に薄紫が少しだけ混じっていて、境目がわからないほど柔らかく溶け合っていた。

 こんな色、好きだったな。

 そう思った瞬間、胸の奥で小さな音がした。

 ――見て。今日の空、すごく綺麗。

 ずっと前、自分がそんなふうに声を弾ませたことを思い出す。隣にいた誰かが、空ではなく私を見て笑ったことも。

 何を言われたのかは、今でも覚えている。

 けれど、その言葉を思い出してしまうと、たぶん今日の夕暮れまで違う色になってしまう気がした。

 私はファインダーを覗き直す。