世界でいちばん、君に届かない

 「小春ちゃん、話しながら目が輝いてる」

 「だって先輩、可愛いし、優しいし、一緒にいると楽しいですもん。好きになるの、わかります!」

 「こ、小春ちゃん……!」

 思わず胸を押さえる。何ていい後輩なんだろう。

 「小春ちゃん、好き! 結婚しよう!」

 「はい! 先輩のお嫁さんになります!」

 「ちょっと待って。久世くんの話は?」

 侑芽の指摘に、二人で吹き出した。

 「でもさ、澪」

 ひとしきり笑ったあと、侑芽が口を開いた。

 「鷺沢くんはどうするの?」

 「……怜央くん? どうするって何を?」

 突然出てきた名前に、首を傾げる。

 「澪に結構積極的じゃない?」

 「そうです! この前も廊下ですっごく楽しそうでした!」

 小春ちゃんの切り替えは、カメラの連写機能より速い。

 「怜央くんは、私をからかうのが趣味なんだと思う」

 「趣味にしてはずいぶん熱心だけどね」

 侑芽が楽しそうに微笑む。

 「……二人とも、恋愛に結びつけすぎじゃない?」

 小春ちゃんは何か言いたそうだったけれど、結局にこにこと笑うだけだった。

 その笑顔が妙に意味深なのは、気のせいだろうか。