世界でいちばん、君に届かない

「久世くんって、あんまり喋らないよね」

 私が呟くと、侑芽もそちらへ視線を向けた。

「そうだね。でも、別に怖い人じゃないと思うよ」

「うん。私もそう思う」

 以前、写真部の重い箱を運んでいたとき、何も言わずに手伝ってくれたことがある。お礼を言ったら、目をそらして「……別に」。あのときは照れ屋さんなのかな、と思った。

「久世くんって、優しいよね」

 何気なく口にすると、侑芽が少し驚いた顔をした。

「澪って、そういうところあるよね」

「どういうところ?」

「みんながあんまり気にしてないところを、ちゃんと見てるところ」

「……それ、いい意味で言ってる?」

「もちろん」

「じゃあ、もっと褒めて」

「調子に乗るからやめとく」

 ひどい。

 今日の私は、いったい何回信用を失えばいいのだろう。