世界でいちばん、君に届かない

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 昼休み、侑芽とお弁当を広げていると、突然こんなことを言われた。

「ねえ、澪。鷺沢くんって、本当に澪のこと好きだよね」

 危うく卵焼きを落とすところだった。

「……はい?」

「だって、いつも澪のことからかってるじゃん」

「それ、好きな人にすることなの?」

「好きな子ほどからかいたくなるって言うでしょ」

「小学生男子じゃないんだから」

 侑芽はどこか確信ありげだ。

「でも、澪と話してるときの鷺沢くんって、ちょっと違う気がするんだよね」

「違う?」

「生徒会では、あんなにふざけないもん」

「えっ、怜央くんって生徒会では真面目なの?」

「そこに驚く?」

「だって、私には意地悪ばっかりだよ?」

「それだけ気を許してるんじゃない?」

 でも、怜央くんはもともと誰にでも親切な人だ。私にだけ特別、という感じはしない。

「まあ、怜央くんは格好いいよね」

「おっ、認めた」

「顔もいいし、頭もいいし、性格も……たまにいいし」

「たまになんだ」

「だって、私への扱いが雑なんだもん」

「澪が遠慮なく言い返すからでしょ」

「それはそう」

 二人で笑っていると、教室の後ろの扉が開いた。

 久世朔夜くんだった。少し長めの黒髪に鋭い目つき。制服はきちんと着ているのに、どこか近寄りがたい。彼は誰とも話さず席へ向かった。