世界でいちばん、君に届かない

 春の光は、ときどき無遠慮だと思う。

 誰かが悲しんでいようと、眠くて仕方がなかろうと、平等に窓から差し込んできて、教室の埃まできらきら輝かせる。そんなに張り切らなくても、と思うけれど、春に文句を言ったところで返事はない。

「澪、聞いてる?」

「聞いてる聞いてる。春って意外と押しが強いなあって」

「全然聞いてないじゃん」

 隣の席で、相沢侑芽が呆れた顔をした。

 細いフレームの眼鏡を押し上げる仕草が、いかにも賢そうである。実際、彼女は賢い。生徒会の書記を務め、先生からも頼りにされている。

 ただし、私の扱いに関してだけは、少々雑だった。

「だから、新しいクラスでも一緒になれてよかったねって話」

「あ、それは私も思ってた!」

「今、思い出した顔だったよ」

「そんなことないよ。侑芽と同じクラスなら、三年生も楽しくなるなって」

「……急に可愛いこと言うの、反則」

「えっ、褒められた?」

「調子に乗るから褒めない」

 言いながら、侑芽は笑った。その笑顔を見ると、私もつられて笑ってしまう。