極東4th

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「あ…」

 真理の魔力を吸って、一時的に意識を回復した早紀だったが、長い覚醒ではなかった。

 一瞬だけ目が合ったが、その目はすぅっと閉じられたのだ。

 ようやく彼女の身体が、「休みたい」という欲求を表した証拠だった。

 ふぅ。

 とりあえずは、最低限の魔力には達したようだ。

 真理は、引き上げようと思った。

 が。

 握られた手は、離れなかったのだ。

 おい。

 冷ややかに、その手を見ると。

 これまた図々しいことに、引き続き真理の手を通じて、魔力を吸い続けている。

 まだ、全然足りていないと言わんばかりに。

 何という、食欲。

 呆れながら、その安らかな寝顔を見る。

 こんな静かな寝顔で、物凄い食欲だった。

 本当に。

 真理は、思った。

 本当に、厄介な憑き魔女だ。

 早紀が鎧である以上、真理が死ぬまで付き合う羽目になるだろう。

 主から、遠慮なく魔力を吸うような魔女と。

 まあ、本人は覚えてないのだろうが。

 いや。

 覚えていられては、困る。

 いつも魔力を分けてやると思われるのは、非常に問題があった。

 魔力対策も、必要なようだ。

 それからしばらくして。

 ようやく満足してきたのか、早紀の手が緩む。

 振り払うことは出来ただろうが、無理にそうすると今度こそ、彼女が完全に覚醒して、真理が何をしていたか気づきそうだったのだ。

 緩んだ手をほどき、真理はベッドから立ち上がり──かけて、よろけた。

 思いのほか、早紀に持っていかれたようだ。

 これでは、真理の方に問題が出る。

 どこかで、魔力を補給しなければ。

 ああ。

 残酷にも、彼はすぐに心当たりを思いついた。

 修平がいた、と。