極東4th

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 早紀は──ベッドの上に転がって、天井を見ていた。

「あ…れ…?」

 うまく記憶がつながらず、早紀は変な声を出す。

 だるい身体をむくりと起こし、きょろきょろと周囲を見た。

 誰もいない。

 何故、誰かいると思ったのだろう。

 自分でも、よく分からない。

 時計を見ると、昼過ぎというありえない時間だった。

 学校をさぼったことになる。

 朝、起きて。

 起きて──それから。

 思い出そうとしたが、記憶はつながらなかった。

「おかあさん…おは…こんにちは?」

 眉間をぐりぐりにしたまま、早紀はそれでも、母親の写真に挨拶をする。

 今日はまだ、した気がしないのだ。

 疲れてたのかなあ。

 思い当たる節は、それしかない。

 昨夜は、初めての戦いだったし、物凄く痛い思いもしたし。

 そう言えば、痛みはすっかり消えていた。

 夢の中で、鎧の男が治してくれると言ったが、本当だったようだ。

 結構、優しい人カモ。

 早紀は、そう思いながら、こそっと胸元を確認してみる。

 傷は、きらっと光る一筋が、残っているだけだ。

 けだるいのは、魔力を抜かれたせいだろうか。

 治療に必要と言われたから。

 だが、魔力さえあれば治せるという事実は、少しだけ早紀の心を軽くした。

 今後、鎧になりたくないと言っても、あの真理が納得するはずがないからだ。

 痛いのは嫌だが、いまの彼女の立場では、断ることは到底無理である。

 どんなに逃げても、鎧の男は夢に出るだろうし、鎧が必要な真理に連れ戻されるだろう。

 その真理は。

 きっと、早紀が怪我で起き上がれないと思って、学校へ行ってしまったに違いない。

 治りましたって…言った方が、いいよ、ね、やっぱり。

 余り気は進まないが、黙っておくのも変な話だ。

 夕方、帰ってきた頃に伝えるかなあ。

 だるい身体に任せて、早紀はぱたりと布団に倒れ込んだのだった。