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「おかあ…さん…」
きゅうっと。
赤ん坊のような力が、真理の手を握り返してきた。
お母さん?
不本意な呼ばれ方だ。
まだ、完全に戻っていない意識から漏れた、うわごとレベルの言葉。
真理は、ガラス玉のような、開いたままの目を見た後。
枕もとの写真を見た。
早紀によく似た女性が、笑っている。
早紀の母親が、カシュメルの血を引く魔女のはず。
親子二代で、魔女らしくない魔女だったようだ。
握られた手は、乳を吸う赤子のように、真理から魔力を吸い上げていく。
ふぅ。
魔力を失う倦怠感を覚えながら、真理は小さく息を吐いた。
鎧を得てからというもの、早紀には本当に振り回される。
予想もしていなかった力を持っているかと思えば、たったひとつの傷で魔力を枯渇させる。
鎧としてリンクしていればうるさいし、痛みを怖がって、彼の許可なくステルスに逃げる。
おかげで、真理個人としては、まったくの戦果を上げられていなかった。
ただ──数だけならば。
昨日、彼が墜とした数は2。
向こうのトップが、どうやら出撃してなかったので、2/3という立派な数字になる。
この数字は、おそらくイデルグによって報告されているだろう。
カシュメル家の初陣にしては、十分すぎる数字ではあった。
本当に、不本意だが。
多くの鎧を受け継ぐ魔族が、憑き魔女を持たない理由も、早紀を見ているとよく分かる。
非常に──面倒だ。
思えば。
トゥーイの連れていた、零子と呼ばれる憑き魔女も、ガラス玉のような目をしていた。
いまの早紀よりは、マシな目だが。
彼女もまた、傷により魔力を失いかけているのだろうか。
不本意なまま、真理が思考を巡らせていると。
「あ…」
小さな、女の声。
早紀のガラス玉に──光が入っていた。
「おかあ…さん…」
きゅうっと。
赤ん坊のような力が、真理の手を握り返してきた。
お母さん?
不本意な呼ばれ方だ。
まだ、完全に戻っていない意識から漏れた、うわごとレベルの言葉。
真理は、ガラス玉のような、開いたままの目を見た後。
枕もとの写真を見た。
早紀によく似た女性が、笑っている。
早紀の母親が、カシュメルの血を引く魔女のはず。
親子二代で、魔女らしくない魔女だったようだ。
握られた手は、乳を吸う赤子のように、真理から魔力を吸い上げていく。
ふぅ。
魔力を失う倦怠感を覚えながら、真理は小さく息を吐いた。
鎧を得てからというもの、早紀には本当に振り回される。
予想もしていなかった力を持っているかと思えば、たったひとつの傷で魔力を枯渇させる。
鎧としてリンクしていればうるさいし、痛みを怖がって、彼の許可なくステルスに逃げる。
おかげで、真理個人としては、まったくの戦果を上げられていなかった。
ただ──数だけならば。
昨日、彼が墜とした数は2。
向こうのトップが、どうやら出撃してなかったので、2/3という立派な数字になる。
この数字は、おそらくイデルグによって報告されているだろう。
カシュメル家の初陣にしては、十分すぎる数字ではあった。
本当に、不本意だが。
多くの鎧を受け継ぐ魔族が、憑き魔女を持たない理由も、早紀を見ているとよく分かる。
非常に──面倒だ。
思えば。
トゥーイの連れていた、零子と呼ばれる憑き魔女も、ガラス玉のような目をしていた。
いまの早紀よりは、マシな目だが。
彼女もまた、傷により魔力を失いかけているのだろうか。
不本意なまま、真理が思考を巡らせていると。
「あ…」
小さな、女の声。
早紀のガラス玉に──光が入っていた。


