いつもの存在感の薄さとは、まったく違う。
生気そのものが、希薄になってしまっている。
まるで。
大量の、魔力を抜かれたかのように。
まさか。
真理は、抜け殻になった早紀の胸元を開いた。
傷は──ほぼ、なかった。
金の糸ほどの、痕跡が残っているだけ。
この傷が、早紀の魔力を吸い取ったのかどうかは分からない。
しかし、いまの彼女は、「一応」生きているとしか言えないほど、魔力が枯渇しかけていた。
「……っ」
真理は、頭を抱えた。
大きな、葛藤があるのだ。
彼は、鎧の主で。
この早紀の主で。
そして、偉大なるカシュメル家直系の主でもある。
その真理が、どうして下僕のために、力を尽くす必要があるのか、と。
しかし、もしこの状態で、彼女が鎧になれなかったなら、真理は戦いに出られなくなる。
ならば、他の誰かの魔力を。
だが、自分より下に見ている相手に、魔力を分けてやるようなお人よしなど、カシュメル家の一族にはいない。
勿論、主である真理が命令すれば従いはするが、自尊心を深く傷つけられるだろう。
使用人たちは、かろうじて魔族と言える程度の低階級のものばかりで、早紀に分けるほどの魔力があるかも怪しいものだ。
深い眉間の皺の間で、葛藤と戦っていた彼は。
ついに、ベッドから離れた。
扉に向かって足を踏み出す。
開いたままの扉に手をかけ。
真理はそれを──部屋の内側から閉ざした。
ご丁寧に、魔力でカギをかける。
そして再び、早紀の元へと戻ったのだ。
これから。
これから真理がすることは、誰にも知られてはならなかった。
カシュメルの名において。
主が下僕に──魔力を分けてやるなど!
生気そのものが、希薄になってしまっている。
まるで。
大量の、魔力を抜かれたかのように。
まさか。
真理は、抜け殻になった早紀の胸元を開いた。
傷は──ほぼ、なかった。
金の糸ほどの、痕跡が残っているだけ。
この傷が、早紀の魔力を吸い取ったのかどうかは分からない。
しかし、いまの彼女は、「一応」生きているとしか言えないほど、魔力が枯渇しかけていた。
「……っ」
真理は、頭を抱えた。
大きな、葛藤があるのだ。
彼は、鎧の主で。
この早紀の主で。
そして、偉大なるカシュメル家直系の主でもある。
その真理が、どうして下僕のために、力を尽くす必要があるのか、と。
しかし、もしこの状態で、彼女が鎧になれなかったなら、真理は戦いに出られなくなる。
ならば、他の誰かの魔力を。
だが、自分より下に見ている相手に、魔力を分けてやるようなお人よしなど、カシュメル家の一族にはいない。
勿論、主である真理が命令すれば従いはするが、自尊心を深く傷つけられるだろう。
使用人たちは、かろうじて魔族と言える程度の低階級のものばかりで、早紀に分けるほどの魔力があるかも怪しいものだ。
深い眉間の皺の間で、葛藤と戦っていた彼は。
ついに、ベッドから離れた。
扉に向かって足を踏み出す。
開いたままの扉に手をかけ。
真理はそれを──部屋の内側から閉ざした。
ご丁寧に、魔力でカギをかける。
そして再び、早紀の元へと戻ったのだ。
これから。
これから真理がすることは、誰にも知られてはならなかった。
カシュメルの名において。
主が下僕に──魔力を分けてやるなど!


