---
ガシャンッ。
鎧から解放された早紀は、前に倒れるように膝をついた。
痛いーーー!!!
胸が、焼けるように熱く痛いままだったのだ。
窓が割れ、風通しのよくなった真理の部屋で、彼女は初陣の代償と戦わなければならなかった。
「今夜は…」
頭の上の方で、真理が不機嫌な声で、何かを言おうとしている。
しかし、いまの早紀には聞き取れない。
パジャマの胸が、血で濡れていないのが不思議なほどだ。
「…見せてみろ」
言いかけた言葉をやめ、真理の声が近づいてくる。
無造作に伸ばされた両手が、彼女のパジャマの前を、ぐいと開いたのだ。
夜中に、男の部屋で、あられもなく──なんてことを考える余裕など、早紀にはない。
だが、自分の傷口を反射的に見てしまった。
金色のアザが、胸の上を左右に走っている。
真理も、傷に驚いたようだ。
彼は、その傷口に手を伸ばしかける。
傷に触られるなんて、痛いに決まっている。
早紀は。びくっと身構えたが。
真理も同じように、びくっと手を引っ込めた。
熱いものに手を近づけた時の、反射行動に見えた。
ああ、そうか。
分かった。
真理も、この傷には触れないのだろう。
金色の敵につけられた傷だから、きっと魔族にはとても悪いものに違いない。
ということは、痛い上に──誰も早紀を助けてはくれないのだ。
涙が出そうだった。
「調べておく…部屋に戻れるか?」
真理の声は、彼女を更に孤独な気分に叩き落した。
焼ける胸を、パジャマで隠すようにして、ふらふらと立ち上がる。
いまもし、誰か頼れる人がいたならば、彼女はきっとへたりこんだままだったろう。
だが、そんな人などどこにもいやしない。
いないから、立たなければならない。
おかあさん、おかあさん。
生きている真理より、死んだ母の写真の前で──泣きたかった。
ガシャンッ。
鎧から解放された早紀は、前に倒れるように膝をついた。
痛いーーー!!!
胸が、焼けるように熱く痛いままだったのだ。
窓が割れ、風通しのよくなった真理の部屋で、彼女は初陣の代償と戦わなければならなかった。
「今夜は…」
頭の上の方で、真理が不機嫌な声で、何かを言おうとしている。
しかし、いまの早紀には聞き取れない。
パジャマの胸が、血で濡れていないのが不思議なほどだ。
「…見せてみろ」
言いかけた言葉をやめ、真理の声が近づいてくる。
無造作に伸ばされた両手が、彼女のパジャマの前を、ぐいと開いたのだ。
夜中に、男の部屋で、あられもなく──なんてことを考える余裕など、早紀にはない。
だが、自分の傷口を反射的に見てしまった。
金色のアザが、胸の上を左右に走っている。
真理も、傷に驚いたようだ。
彼は、その傷口に手を伸ばしかける。
傷に触られるなんて、痛いに決まっている。
早紀は。びくっと身構えたが。
真理も同じように、びくっと手を引っ込めた。
熱いものに手を近づけた時の、反射行動に見えた。
ああ、そうか。
分かった。
真理も、この傷には触れないのだろう。
金色の敵につけられた傷だから、きっと魔族にはとても悪いものに違いない。
ということは、痛い上に──誰も早紀を助けてはくれないのだ。
涙が出そうだった。
「調べておく…部屋に戻れるか?」
真理の声は、彼女を更に孤独な気分に叩き落した。
焼ける胸を、パジャマで隠すようにして、ふらふらと立ち上がる。
いまもし、誰か頼れる人がいたならば、彼女はきっとへたりこんだままだったろう。
だが、そんな人などどこにもいやしない。
いないから、立たなければならない。
おかあさん、おかあさん。
生きている真理より、死んだ母の写真の前で──泣きたかった。


