極東4th

 トゥーイは、来ていないと思っていたら。

「奴なら、ずっと上空だ」

 三体を落として、蝕に戻ってきた真理に、イデルグは天空を指す。

 ちょうど、降下してくるところだった。

「トゥーイ卿は、目が効くからな…戦力が足りている内は、厄介な奴がこないか見張ってもらっていた」

「きませんね、向こうのトップも…青も」

 黒耀石の目を持つ鎧が、真横に立つ。

 その石が、まるで生きているかのように、兜の上を這いずった。

 本来、あるべき位置ではないところまで、自由に動いている。

「ついに、くたばってくれているなら万々歳だがな…まあ、青が来るには距離があるから、そっちはいいだろう」

 イデルグが、魔気を吐き出しながら、蝕を見つめる。

 ピークはとっくに過ぎており、もう少しで蝕は閉じるだろう。

 青か。

 静かすぎる鎧の中で、真理は屈辱にまみれたまま呟いた。

 もうひとつの種族――海族だ。

 奴らは、名前の通り海上が縄張りで。

 今回のように、蝕が陸地の上であれば、現れない。

 しかし、世界中の海の広さを考えると、侮れない勢力だ。

 今の真理は、自分の失態から逃避しようとしていたのかもしれない。

 新しい情報で、頭をいっぱいにしているフリを。

 しかし――黒耀石が、彼を見るように動いた。

 まるで、さっきの戦いぶりを、見ていたと言わんばかりに。

 カシュメルの名に、泥を塗りたくられた気分に、彼は耐えなければならなかった。

 これが…4thの立場か。

 だが。

「こうして、目の前にいるのに…霞んで感じるよ。僕のこの目でさえ…悔しいけどね」

 真理の、被害妄想とは裏腹に。

 トゥーイは、称賛を口にした。

 それは、真理自身ではなく――鎧を誉めたに過ぎなかったが。