極東4th

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 真理の、プライドはずたずただった。

 対等に戦えていたはずの戦況は、早紀に邪魔され、ベルガーの助けを借りた上に、抉るような嫌味で畳み掛けられたのだ。

 これは、父親経由で受けた屈辱ではなく、真理自身が受けたものだった。

『痛い、痛い』

 そんな彼の頭の中には、ひよわな早紀の声が響き渡る。

 真理は、まったく痛くないため、その言葉に同調できるはずもなかった。

 鎧と魔女の同化についての基礎知識はあるが、全てを知り尽くしているわけではない。

 鎧が傷ついて、痛がるなんて想像だにしていなかったのだ。

 そして、真理は短い時間で選択を強いられる。

 このまま、痛がる早紀を引きずって実力で戦うか。

 再びステルスモードで、不意討ちで戦うか。

 この一瞬の迷いでさえ、二体の敵の片割れが、こっちに向かってくるには、十分な時間なのだ。

 そして。

 真理は、答えを出す必要がなかった。

 近づく敵を認識するや。

 ひよわな早紀の声が。

 聞こえなくなった。

 真理の指示も待たず――彼女は保身に走ってしまったのだ。

 おかげで。

 いきなり、真理を見失ったらしい敵の戸惑いを、目の当たりにさせられたのだ。

 これでは…ただの作業ではないか。

 忌々しく――真理は、刀を振り下ろしたのだった。