極東4th

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 少し――分かった。

 早紀という鎧の扱いを、だ。

 精神のリンクが切れている時の彼女は、ステルスモード。

 自分の心さえも、真理から隠すのだ。

 低次元な雑多な感覚が、流れ込んでこないのはありがたいが、ずっとステルスモードなのは困ることもある。

 それを、さっきイデルグに言われたのだ。

 ステルスが故に、蝕の番が出来ない、と。

 自由にオン、オフが出来なければ、不便なのだ。

 それに。

 ステルスは、早紀の能力で。

 これのみに頼って勝ったところで、真理には勝利への充実感を感じられなかったのだ。

 さっきの一撃で、それに気付いた。

 勿論、必要なところでは使う。

 だが。

 取り敢えず次は、真理の力で敵を落とす。

『あわわ…切れた? 切れたの?』

 早紀の、慌てた声を聞きながら、真理はベルガーの脇を擦り抜けた。

 向こうから、突っ込んでくる、一体の金の鎧。

 天族だ。

 だが、この名前は遠からず忘れることになる。

 自分たちが滅ぼすからだ。

 真理は、そういう魔族至上主義の教育を受けてきた。

 だからこそ。

 前回の、大空蝕の敗北は、限りない汚点なのだ。

 真理は、気に入らない形の刀を振り上げた。

 打ち合う。

 鎧の全身に、その振動が伝わった。

 一瞬、ぐわんっと鐘が鳴ったような共鳴を引き起こす。

 打ち負けはしなかったが、腕がきしんだ。

 みしっ。

 真理は、その腕をなおきしませる。

 跳ね、返した。

 一秒にも、満たない間の――攻防だった。