極東4th

 振り上げられる、刃の残像。

 金の鎧の背を、真理が斬り付ける。

 早紀は、それを見ていた。

 突然の一撃に、敵は墜落してゆく。

 金の鎧もやはり、この鎧の存在に気付けなかったのか。

 でなければ、こうも簡単に斬り付けられるはずがない。

「ああ、やっぱりカシュメル卿か…」

 先に戦っていた魔族が、真理の横についた。

 1st――イデルグ卿。

 真理から伝わる、表層の情報。

 がっしりとした、重戦車のような鎧だ。

 しかし、鈍重な動きでなかった。

「横槍、失礼しました」

 真理が、控えめな一言を口にする。

 昼間のトゥーイという男との態度が違うのは、やはり相手が1stだからなのか。

「気にするな…落としたらそれでいい。ベルガー卿なら、イヤミのひとつも言うだろうがな…おっと、噂をすれば、その2nd様だ」

 下方から飛んでくる鎧を、1stが見下ろした。

 しかし、そこでもすぐに火花が上がる。

 同じように遅れてきた、金色の方と接触したのだ。

 しかし、金の方が2体見える。

「カシュメル卿…イヤミを言われに、行ってくれるか?」

 イデルグは、下の戦いを指した。

「お前さんの鎧は、すぐ存在を消してしまうから…蝕の番人には向かない」

 そして、顎を上に向ける。

 黒い夜空を、少しずつ闇が侵食していっている。

 まだ、いまは三日月のような形だ。

 これが球体になり、そしてまた小さくなっていくのだろう。

「分かりました」

 真理は。

 答えるや、急降下した。

 突然の垂直落下だったが、早紀は絶叫したりしない。

 それどころか。

 真理と鎧の二人がかりで戦意を煽られていて──すっかり、頭に血が昇ったままだった。