極東4th

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 真理が、戦いたがっている。

 鎧となって彼を包みながら、早紀はそれを内部から強く感じていた。

 自分の内部、というものは二つある。

 真理のいる部分と──おそらく、あの鎧の男がいる部分、だ。

 その両方が、この初陣を心待ちにしていたことが伝わってくる。

 一瞬、それらが自分のものであるかと、錯覚するほど近く。

 事実。

 その感覚に、強く捕らわれていたせいか、引け腰になったり、怯えたりする余裕はなかった。

 自分の元の性格を考えると、かなりの部分で彼らとシンクロしていなければ、ありえない状態だ。

 そのシンクロの高さのせいか、空蝕に向かって飛ぶ時の自分の身体は、とても軽く感じる。

 そして、そして、蝕が一体なんなのか──半本能的に感じることが出来たのだ。

 鎧の知識だったのか、真理の知識だったのか。

 どちらかは、分からないのだが。

 空蝕。

 エネルギーの塊。

 蝕の終わりに落ちる、ひとひらの『涙』の奪い合い。

 敵。

 金の者。

 青の者。

 意識の中には、金色がたくさんたくさん流れ込んでくる。

 時折、青が掠める程度。

 早紀の視界には、夜空で打ち合う黒い鎧と、もう一人が見えた。

 金!

 ぶつかり合った火花が、鮮やかにそれを見せる。

 迷わないのは、真理。

 その二つの鍔迫り合いに、割って入る気だ。

 首筋が、ぞくっとした。

 固いはずの鎧の首が、一瞬、冷たいゼリーにでもなった気がしたのだ。

 真理は、そのゼリーから、もっと冷たいものを引き抜いた。

 自分の身体から奪われる、長く、曲がったもの。

 トプンッ。

 首筋は、そんな水音をたてた。

 真理から、失望のような感覚が届いたのと──ほぼ同時のことだった。