極東4th

 黒い球体の中の、黒い世界を歩く。

 中は、外よりももっともっと広かった。

 実際に入ったのは初めてであったため、真理もどこへ向かえばよいのかは分からない。

 しかし、彼はそのまま歩き続けた。

 極上の着心地となった鎧に、わずかな満足を深層で浮かべながら。

 それは──唐突に起きた。

 視界が、いきなり開けたのだ。

 三人の鎧の存在が見え、真理は反射的に足を止めた。

 ここがどうやら、目的の場所のようだ。

 自分と同じような、黒い鎧の存在。

 デザインこそ違え、いずれも名のある、そして力のある魔族なのが、はっきりと伝わってくる。

 しかし、彼らは真理の方を見てはいなかった。

 全員、前方の闇を見つめているのだ。

 真理が、その闇を見やると。

「なるほど、面白い」

 闇が、震えるようにしゃべった。

 強い魔気が、熱風のように真理に向かって押し寄せる。

 ただしゃべるだけでも、それがあふれ出すことを止められないかのように。

 入った瞬間の威圧感は、これだったのだ。

 そして。

 理解した。

 これが、自分が──膝を折るべき主だ、と。

「面白い、とおっしゃいますと?」

 と、鎧の男が主の方へと語りかける。

 新人は、完全なる無視、か。

 真理は、多少は覚悟していた。

 自分を含めて4つの鎧が、この極東にはある。

 誕生日がきて、鎧を受け継いだばかりの新参者。

 それに対する扱いとしては、無視もありえるのだろう。

 そう、真理が結論づけかけた時。

 主が──笑った。

「面白いではないか…おぬしら、見えておらぬのか?」

 なに、を。

 何を言おうとしているのか。

 瞬間。

 はっと、三つの鎧は弾かれるように、真理の方を見たのだ。

「新しいカシュメルは、面白い鎧を持っているではないか」

 闇の中の主は、魔気を激しく震わせながら、悦楽の笑い声を上げたのだった。