極東4th

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 真理は、夜空に黒い星を見つけていた。

 暗い空に黒いもの。

 魔族ならば、それが見える。

 正確にいうと、星ではない。

 真理が星に向かって飛び続けると、次第にそれは大きくなっていった。

 丸く大きな球体が、目の前まで迫った時。

『何だろう、これ』

 鎧の独り言が聞こえる。

 契約者としてつながる、というのは、厄介なものだ。

 真理は表層意識ではなく、もっともっと深いところでちらりとだけ考えた。

 それだと、鎧には伝わらないようだ。

 ここまで、早紀の素の感情が、流れ込んでくるとは思わなかったのだ。

 真理はその球体に、あっさりと滑り込んだ。

 瞬間。

 早紀が、緊張したのが伝わった。

 鎧の表面を震わせるほどの威圧感が、襲ってきたからだ。

 鎧ごしに、真理にもそれは伝わる。

 すると。

 面白いことが起きた。

 鎧の内部が、真理を守るようにもっと内に、彼を引き込むような動きを見せたのだ。

 不思議な感触だった。

 冷たくも熱くもなく、重くも軽くもなく。

 その上。

 一切の雑音が消え、視界がさらに明瞭になった気がしたのだ。

 なん、だ?

 防衛本能のように、真理の鎧は静まり返った。

 まあいい。

 静かにしてくれるのは、この上ないことだ。

 真理でさえ緊張すべきところへ、これから彼は踏み出さなければならないのだから。

 鎧は、完全に彼の制御下にあり、音も立てずに一歩踏み出すことが出来た。

 一分の隙もなく、自分の身体にフィットした衣服のようにさえ感じる。

 歩き出しても、彼の鎧はまるで周囲の気体さえ、動かさないようにするのだ。

 極上の──着心地だった。