極東4th

 昨日の記憶をしまいこんだ早紀は、再び校庭でこちらを見ている二組目に目を向けた。

 タミ兄妹の、やや後方。

 トゥーイと零子だ。

 零子は、きょろきょろはしていない。

 しかし、やはり早紀を見つけてはいなかった。

 一点ずつに的を絞って、集中して見ている──そんな瞳だ。

 昨夜。

 トゥーイは、真理には声をかけなかった。

 だが、その鎧の上の可動式のひとつの瞳だけは、激しく動きながらも真理を見ていた。

 何者になったのか、彼はそれを見定めようとしていたのだろう。

 ただ、早紀には分かった。

 もはや、トゥーイは3rdではいられないだろうと。

 いや。

 そういうレベルの話では、ないのかもしれない。

 沙汰があると。

 そう、解放者の鎧の男が言った。

 限定解除出来るということを、これまで真理は知らなかったし、あえて知らせないようにしてきた具合を見ると、極東というくくりでは、なくなるのかもしれない。

 この、遠い遠い東の果ての島国から、離れなければならないのかも。

 少なくとも。

 真理は、4thではなくなるのだ。

 それを、彼が一番喜んでいることを、鎧というつながりで知った。

 零子の目が、早紀の上でじっと止まった。

 じっと、じっと。

 長いこと見つめられていたので、ついに気づかれたかと思った。

 しかし。

 視線は、また違う空間へと移る。

 ああ。

 自分はもう本当に、限定解除していない魔族には、見つけられなくなってしまったのだと。

 それを、少し寂しく思った。

『バーカ』

 決して自分を見失うことのない相棒が、そんな彼女を足蹴にしてくれた。