「こんにちは」
病院の上空から、早紀は声をかけた。
身体は、ホウキの上。
魔女らしい視点から、伊瀬を見下ろすことになるとは、思ってもいなかった。
不思議な感覚だ。
「君は…あの時と同じ君なのか?」
静かに。
色々と思うところはあるだろうが、つとめて静かに伊瀬は空に向かって声をかける。
「違うわよ」
唇を乗っ取ったのは、貴沙。
挑発的な声をあげながら、ホウキで空中に弧を描いた。
「…やはり、昨日の夜も…『君たち』だったんだな」
「そうよ、『あたしたち』よ」
ゆっくり振り出される太刀と、鋭い短剣のようなやりとり。
「ごめんなさい…」
そのやりとりの中に、早紀は木の棒で割り込むのだ。
「ごめんなさい…私は魔族なんです。魔女なんです」
そんな当たり前のことだと分かっていても、言わずにはいられなかった。
彼は、とてもいい人だ。
殺されかかりはしたが、その時でさえも伊瀬は優しかった。
ごめんなさいは──その優しい男と、完全に決別する言葉。
早紀は魔女で、そしてこれからも魔女であり続けると、覚悟が決まってしまったのである。
だから。
「……わかったわよ」
面倒臭そうに、貴沙がため息を吐きだす。
「もう二度と、あんたには会わないわ」
貴沙は、ホウキの舳先を軽く持ち上げる。
上昇するサインだ。
「次に会うとしたら…殺し合いの場だけ、よ」
見上げる伊瀬。
「その前に…葵に何かしたら、あたしがあんたを殺しに行くわ」
捨てゼリフの直後、ホウキは弾丸のように上空へと飛翔する。
風が、顔に痛いほど。
「あーもう…鬱陶しい! 泣かないでよ!」
貴沙の怒った声が、早紀のせいで涙声なのが、ちょっとだけ笑えた。
病院の上空から、早紀は声をかけた。
身体は、ホウキの上。
魔女らしい視点から、伊瀬を見下ろすことになるとは、思ってもいなかった。
不思議な感覚だ。
「君は…あの時と同じ君なのか?」
静かに。
色々と思うところはあるだろうが、つとめて静かに伊瀬は空に向かって声をかける。
「違うわよ」
唇を乗っ取ったのは、貴沙。
挑発的な声をあげながら、ホウキで空中に弧を描いた。
「…やはり、昨日の夜も…『君たち』だったんだな」
「そうよ、『あたしたち』よ」
ゆっくり振り出される太刀と、鋭い短剣のようなやりとり。
「ごめんなさい…」
そのやりとりの中に、早紀は木の棒で割り込むのだ。
「ごめんなさい…私は魔族なんです。魔女なんです」
そんな当たり前のことだと分かっていても、言わずにはいられなかった。
彼は、とてもいい人だ。
殺されかかりはしたが、その時でさえも伊瀬は優しかった。
ごめんなさいは──その優しい男と、完全に決別する言葉。
早紀は魔女で、そしてこれからも魔女であり続けると、覚悟が決まってしまったのである。
だから。
「……わかったわよ」
面倒臭そうに、貴沙がため息を吐きだす。
「もう二度と、あんたには会わないわ」
貴沙は、ホウキの舳先を軽く持ち上げる。
上昇するサインだ。
「次に会うとしたら…殺し合いの場だけ、よ」
見上げる伊瀬。
「その前に…葵に何かしたら、あたしがあんたを殺しに行くわ」
捨てゼリフの直後、ホウキは弾丸のように上空へと飛翔する。
風が、顔に痛いほど。
「あーもう…鬱陶しい! 泣かないでよ!」
貴沙の怒った声が、早紀のせいで涙声なのが、ちょっとだけ笑えた。


