「解放すると…どうなるの?」
早紀は、呆れながら聞いていた。
毎晩、彼と付き合ってきたせいだろうか。
驚くことはあっても、不思議と恐怖はなかった。
いつもの彼らしい話し方だったことも、早紀を後押ししてくれているのか。
最初から、彼には図太い態度を取っていた気がする。
「「自由になるだけさ」」
男は、ニヤニヤした声で答える。
こんな鎧稼業とは、もうオサラバ──そう言いたいのか。
「契約は…?」
早紀は、自分の額を指した。
彼が鎧をやめるというのなら、早紀はもう鎧になることはできない。
魂を、彼との契約に捧げたことになっている。
「「だから…もう一人準備するチャンスを…やったろう?」」
鎧の男は、軽く顎で倒れたままの貴沙を指す。
どういう、こと?
「「契約したのは一人分の魂だ…オレと分離する時に、一人分の魂がなくなってもお前は生きられるだろ?」」
実に。
実に、彼らしい考えのように思えた。
奇妙な情けと、奇妙な残酷さを同時に持っている。
早紀が生き延びるチャンスとして、貴沙の魂を取りに行かせたのだ。
そして、貴沙の魂を犠牲にして生き残れ、と。
何とも素晴らしい計画ではないか。
「はは…」
早紀は、思わず笑ってしまった。
本当におかしいことを考える鎧だ。
その笑い声に、もう一つ笑い声がかぶった。
「あははは…それは面白い話だわ」
ゆっくりと、貴沙が身を起こす。
「早紀の記憶では見たけど…初めて会うわね、鎧野郎」
立ち上がり、髪を払う。
「「どっちの魂でも、オレは構わんぞ」」
鎧野郎と呼ばれても、男は気配一つ変えはしない。
それどころか、二人で争えといわんばかりだ。
早紀は、貴沙を見た。
貴沙も、彼女を見た。
爽快感とは、この一瞬のことだろうか。
意識にすっと涼しげな風が吹き込んで、暗雲をすべて追い払ってくれるような、そんな感覚。
早紀は、自分の口角が上がるのを感じた。
貴沙は、目を細める。
「どっちも…いやだなあ」
「いやに決まってんでしょ」
早紀は、呆れながら聞いていた。
毎晩、彼と付き合ってきたせいだろうか。
驚くことはあっても、不思議と恐怖はなかった。
いつもの彼らしい話し方だったことも、早紀を後押ししてくれているのか。
最初から、彼には図太い態度を取っていた気がする。
「「自由になるだけさ」」
男は、ニヤニヤした声で答える。
こんな鎧稼業とは、もうオサラバ──そう言いたいのか。
「契約は…?」
早紀は、自分の額を指した。
彼が鎧をやめるというのなら、早紀はもう鎧になることはできない。
魂を、彼との契約に捧げたことになっている。
「「だから…もう一人準備するチャンスを…やったろう?」」
鎧の男は、軽く顎で倒れたままの貴沙を指す。
どういう、こと?
「「契約したのは一人分の魂だ…オレと分離する時に、一人分の魂がなくなってもお前は生きられるだろ?」」
実に。
実に、彼らしい考えのように思えた。
奇妙な情けと、奇妙な残酷さを同時に持っている。
早紀が生き延びるチャンスとして、貴沙の魂を取りに行かせたのだ。
そして、貴沙の魂を犠牲にして生き残れ、と。
何とも素晴らしい計画ではないか。
「はは…」
早紀は、思わず笑ってしまった。
本当におかしいことを考える鎧だ。
その笑い声に、もう一つ笑い声がかぶった。
「あははは…それは面白い話だわ」
ゆっくりと、貴沙が身を起こす。
「早紀の記憶では見たけど…初めて会うわね、鎧野郎」
立ち上がり、髪を払う。
「「どっちの魂でも、オレは構わんぞ」」
鎧野郎と呼ばれても、男は気配一つ変えはしない。
それどころか、二人で争えといわんばかりだ。
早紀は、貴沙を見た。
貴沙も、彼女を見た。
爽快感とは、この一瞬のことだろうか。
意識にすっと涼しげな風が吹き込んで、暗雲をすべて追い払ってくれるような、そんな感覚。
早紀は、自分の口角が上がるのを感じた。
貴沙は、目を細める。
「どっちも…いやだなあ」
「いやに決まってんでしょ」


