不思議な、空間だった。
何が不思議だったか。
早紀は、目の前に立つ存在──要するに、毎晩会っていた鎧の男を不思議だとは、正直思っていなかった。
それは、彼女が手を伸ばす前から、大体分かっていたことだから。
本当に不思議だったのは、倒れている者たちだ。
真理が、近くに倒れている。
それはいい。
だが、もう一人。
そう。
貴沙も、そこに倒れているのだ。
何とか半身を起しながら、早紀は波うつウェーブの髪をじっと見てしまった。
「「「お前さんは、魂が二つになったからな」」」
相変わらず音量調整のされていない音で、おもしろげに男は言う。
ここが、魂の世界だと、そう言いたいのだろうか。
だが、まだ二人は意識を失ったままのようで。
「何で…呼んだの?」
毎夜、早紀と彼は会える。
ただ会いたければ、そこで会えばいいではないか。
こんな手の込んだことをして、そして真理まで巻き込んで──彼は何を目論んでいるのか。
「「ここから…出るためだ」」
少しだけ、ハウリングが減る。
「「どうやって鎧が作られるか…お前は見たはずだ」」
そして、彼は声をひそめるように言った。
ずきっと脳が痛む。
ここに来るまで見せられた、膨大な量の巻き戻し映像。
その最後に。
その最後に、それらしいものがあった。
魔族の男の喉に──流し込まれる蝕の涙。
身体は光り出し、マグマのように物凄い熱を放ちながら、一瞬大きく膨れ上がって。
そして。
硬質化した。
周囲を取り囲む、奇妙なくまどりをしたローブの男たち。
あれは、タミの祖先である鎧鍛冶の一族なのか。
「「さぁ、捕らわれの憐れな蝕のしずくを…解放してやれよ」」
両手を広げ上から目線で言い放つ態度は──やはり、いつもの彼にしか見えないというのに。
何が不思議だったか。
早紀は、目の前に立つ存在──要するに、毎晩会っていた鎧の男を不思議だとは、正直思っていなかった。
それは、彼女が手を伸ばす前から、大体分かっていたことだから。
本当に不思議だったのは、倒れている者たちだ。
真理が、近くに倒れている。
それはいい。
だが、もう一人。
そう。
貴沙も、そこに倒れているのだ。
何とか半身を起しながら、早紀は波うつウェーブの髪をじっと見てしまった。
「「「お前さんは、魂が二つになったからな」」」
相変わらず音量調整のされていない音で、おもしろげに男は言う。
ここが、魂の世界だと、そう言いたいのだろうか。
だが、まだ二人は意識を失ったままのようで。
「何で…呼んだの?」
毎夜、早紀と彼は会える。
ただ会いたければ、そこで会えばいいではないか。
こんな手の込んだことをして、そして真理まで巻き込んで──彼は何を目論んでいるのか。
「「ここから…出るためだ」」
少しだけ、ハウリングが減る。
「「どうやって鎧が作られるか…お前は見たはずだ」」
そして、彼は声をひそめるように言った。
ずきっと脳が痛む。
ここに来るまで見せられた、膨大な量の巻き戻し映像。
その最後に。
その最後に、それらしいものがあった。
魔族の男の喉に──流し込まれる蝕の涙。
身体は光り出し、マグマのように物凄い熱を放ちながら、一瞬大きく膨れ上がって。
そして。
硬質化した。
周囲を取り囲む、奇妙なくまどりをしたローブの男たち。
あれは、タミの祖先である鎧鍛冶の一族なのか。
「「さぁ、捕らわれの憐れな蝕のしずくを…解放してやれよ」」
両手を広げ上から目線で言い放つ態度は──やはり、いつもの彼にしか見えないというのに。


