極東4th

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 ここは、どこなのか。

 真理は、蝕の涙の輝きを見ながら、それを考えていた。

 空にある自然な涙とは思えなかった。

 光を覆い尽くす闇の帯は、まるで涙を拘束するかのように取り巻いているのだから。

 涙が、ここから逃げていかぬように。

「ねえ、あんたコレ知ってるでしょ?」

 貴沙が、ぽつりと呟く。

 腕に抱く彼女を見ると、その瞳は真理を見ているわけではなかった。

「え…ううん、涙ってことは分かるけど」

 頭を振るのは、早紀だ。

 同じ身体を持つ二人で、問答をしているのか。

「光ってることじゃないわよ」

 貴沙は、顎をしっかりと光の方へと向ける。

 真理もそれを追っていた。

「あの光の形よ」

 闇の帯の中、放たれる光のせいで形は、はっきりとは分からない。

 だが。

 真理も早紀も、光が蝕の涙であるという事実のみに捕らわれていた。

 形?

 真理が目を細めようとした時。

「あっ!」

 腕の中の、早紀が跳ねた。

「あっ! あっ! なんで? どうして?」

 驚きと戸惑いが、あふれ出す声。

 その手が、ぎゅっと真理の胸の辺りを握る。

 早紀の顔が。

 驚きの色をそのままに、ゆっくりと彼を見上げてきた。

「あれ…あの形……じゃない?」

 唇は、うまく音を掴めず、空を切る。

 だが、真理はその唇の形を見た。

 オ・オ・イ

 母音の形だ。

 はっと。

 真理は、もう一度光を直視した。

 その形だと言われて見れば、そう見えないことはない。

 まさか。

 あれは。

 あれは──鎧なのか?