「ちょっと…逆なんじゃない」
握った手の向こうが、苦しげに声をあげる。
どっちがしゃべっているか、すぐに分かるのは真理には楽だった。
だが、現実問題はとても強い圧迫感の中だ。
あの世界から、奈落を目指そうとすればするほど、なにもかも飲み込もうとする闇の締め付けが増えるばかりなのだ。
まるで、彼らを拒むかのように。
真理は黙ったまま、握る手に力を込めた。
うっかりにでも手を離せば、二度と早紀と出会えないという危機感だけは、間違いではないだろう。
ずしり。
更に重力が増す。
気を抜けば、圧死できそうなほど。
さっきから。
貴沙ばかりが、うるさくしゃべっている。
「早紀…」
だから、呼び掛けた。
「なんか、メルヘンな事を考えてるわよ、このバカは」
呆れた返事は貴沙のもの。
「ちが…」
慌てたように、早紀の声がかぶる。
「いばら姫ねぇ…この先に、お姫様でも待ってるって言うの?」
「違うってば。ただ…こんなに苦しいくらい隠し込むってことは…なにか大事な…」
一人で喧嘩をする早紀に、真理はわずかに苦しさを忘れた。
多分、笑いに似た感情が、彼の苦痛を少しだけ上回ったのだ。
だが。
突然重力の向きが落下に変わり、圧迫感が鋭い痛みに変わった瞬間――緩んだ思考を捨てた。
「あっ!」
どっちのものか分からない悲鳴をあげる身体を引き寄せ、自分の身体の内に抱き込む。
いばらよりも鋭いものが、真理を切り刻む。
どこに落ちるかなど、分かるはずなどない。
だが。
歓迎されていないのだけは、身を持って分かっていた。
握った手の向こうが、苦しげに声をあげる。
どっちがしゃべっているか、すぐに分かるのは真理には楽だった。
だが、現実問題はとても強い圧迫感の中だ。
あの世界から、奈落を目指そうとすればするほど、なにもかも飲み込もうとする闇の締め付けが増えるばかりなのだ。
まるで、彼らを拒むかのように。
真理は黙ったまま、握る手に力を込めた。
うっかりにでも手を離せば、二度と早紀と出会えないという危機感だけは、間違いではないだろう。
ずしり。
更に重力が増す。
気を抜けば、圧死できそうなほど。
さっきから。
貴沙ばかりが、うるさくしゃべっている。
「早紀…」
だから、呼び掛けた。
「なんか、メルヘンな事を考えてるわよ、このバカは」
呆れた返事は貴沙のもの。
「ちが…」
慌てたように、早紀の声がかぶる。
「いばら姫ねぇ…この先に、お姫様でも待ってるって言うの?」
「違うってば。ただ…こんなに苦しいくらい隠し込むってことは…なにか大事な…」
一人で喧嘩をする早紀に、真理はわずかに苦しさを忘れた。
多分、笑いに似た感情が、彼の苦痛を少しだけ上回ったのだ。
だが。
突然重力の向きが落下に変わり、圧迫感が鋭い痛みに変わった瞬間――緩んだ思考を捨てた。
「あっ!」
どっちのものか分からない悲鳴をあげる身体を引き寄せ、自分の身体の内に抱き込む。
いばらよりも鋭いものが、真理を切り刻む。
どこに落ちるかなど、分かるはずなどない。
だが。
歓迎されていないのだけは、身を持って分かっていた。


