極東4th

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「いやよ…あんたとひとつなんかにならないわよ」

 貴沙は、ホウキを握りしめたまま、早紀をこばむ。

 早紀は、足を止めた。

 彼女がこばんでいる限り、ひとつにはなれないのだ。

 しかし、言葉を取り戻していない早紀は、どう説得していいか分からなかった。

 ただ。

 葵が、視界に入った。

 彼女と目が合った瞬間。

 葵は、貴沙のホウキを両手で掴んだのだ。

「ちょっ!」

 そのままホウキを取り上げようとする葵に、魔女は抵抗する。

「あの子とひとつになって、貴沙!」

 悲痛なほど、必至な声だった。

「何バカなこと言ってんのよ! ふざけないで!」

 貴沙の声は、ヒステリックに跳ね上がる。

 ホウキを挟んで、激しい攻防が起きていた。

 さっきまで、楽に跳ね飛ばされていた葵が、今度ばかりはホウキから手を離さない。

 立っていられなくなって、床に引きずられるようになって尚、そのホウキにしがみつくのだ。

 貴沙が、それに乗って遠くへ逃げてしまわないように。

「だって…だって貴沙は消えたのよ…消えたからあの子がいるのよ!」

 ボロボロになりながら、葵はおかっぱの頭を持ち上げる。

 言葉に、ホウキを奪い返そうとする動きが止まった。

 まだ、その目には迷いがある。

 信じ切れていないのか、信じたくないのか。

 その瞳が──真理を睨むように一度見た。

 そして。

 明らかに目の色を変える。

「ああ…そう…カシュメル…そう」

 何を、暴いたのか。

 カシュメルの人間であることそのものに、貴沙は衝撃を受けているように思えた。

「代替わりしたんだ…あの人、イデルグの奴に殺されたの?」

 ぴくりと。

 早紀の後方で──気配が動いた。