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そうか。
貴沙へと向き直った早紀の髪を見ながら、真理はようやく自分の思いを理解していた。
強くあれ、と。
早紀にそうあれと、自分は願っていたのかと。
願う。
それは、魔族にとってはあまりに儚く無意味なものだ。
強い者は、願う必要などない。
欲しいものは、自分で手に入れるからだ。
なのに。
手に入らないものもある。
イデルグでさえ、貴沙を手に入れられなかったように。
魔女の心ばかりは、どんなに強い魔族でもどんなに手を尽くしても、最後は『願う』という頼りないものになってしまうのだ。
それを、真理は早紀という魔女で、生まれて初めて知った。
そして。
その感情が、結局のところ──イデルグと同じ道につながっていることを、ようやく理解したのである。
だから。
抱きしめた。
必要のない、抱擁のはずだった。
だが、真理はそうしたかったのだ。
早紀を、抱きしめたかった。
そうしたら。
そうしたら早紀はまるで、枯れかけた植物が水を浴びたかのように、力を取り戻していったのだ。
うなだれた首が持ち上がる。
抱き返され、真理はまたも驚かされる。
いままで、しがみつかれこそすれ、こんな形で早紀に抱かれるのは初めてだったからだ。
その腕には、彼女の意思を容易に感じることが出来た。
ああ、そうか。
真理は、自嘲した。
早紀を強くするのは──本当はこんなに簡単なことだったのか、と。
そうか。
貴沙へと向き直った早紀の髪を見ながら、真理はようやく自分の思いを理解していた。
強くあれ、と。
早紀にそうあれと、自分は願っていたのかと。
願う。
それは、魔族にとってはあまりに儚く無意味なものだ。
強い者は、願う必要などない。
欲しいものは、自分で手に入れるからだ。
なのに。
手に入らないものもある。
イデルグでさえ、貴沙を手に入れられなかったように。
魔女の心ばかりは、どんなに強い魔族でもどんなに手を尽くしても、最後は『願う』という頼りないものになってしまうのだ。
それを、真理は早紀という魔女で、生まれて初めて知った。
そして。
その感情が、結局のところ──イデルグと同じ道につながっていることを、ようやく理解したのである。
だから。
抱きしめた。
必要のない、抱擁のはずだった。
だが、真理はそうしたかったのだ。
早紀を、抱きしめたかった。
そうしたら。
そうしたら早紀はまるで、枯れかけた植物が水を浴びたかのように、力を取り戻していったのだ。
うなだれた首が持ち上がる。
抱き返され、真理はまたも驚かされる。
いままで、しがみつかれこそすれ、こんな形で早紀に抱かれるのは初めてだったからだ。
その腕には、彼女の意思を容易に感じることが出来た。
ああ、そうか。
真理は、自嘲した。
早紀を強くするのは──本当はこんなに簡単なことだったのか、と。


